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名探偵たる僕が調べた結果、たぶん、そうなるだろうけど。警察の発表通り、自殺、
あるいは事故だと結論づけたとしても。そうでない真実を見つけたとしても。
後悔しても知らないらないからな」
「はい」
「で?」
「ん?」
「詳しい話と、どうして自殺や事故でないと思ったか。それを教えてくれ」
「ああ」
「僕の手元にある情報は、新聞に載ってたものくらいなんだ。推理をするには情報が必要だ」
「…あの」
「なんだ?」
「私のこと、覚えてますか?」
「は?」
「去年の春頃。私、安藤君に助けてもらったことがあるんです」
「高宮陶子さん。それって事件と関係ある話かな?」
「…いえ」
「安藤」
「申し訳ないんだが、君と学生時代の思い出話をするつもりはない」
「おい、そんな言い方は…」
「杉本、お前は黙れ。僕は名探偵として、彼女から依頼を受けたんだ。
僕のやり方に口出しをしないでくれ」
「それはそうかもしれないけど」
「お前が彼女のことを好きとか、そういうことは今、関係ないんだ。
良い格好をしようというポーズはやめろ」
「好きって、そんな」
「違うのか?好きじゃないのか?」
杉本は黙る。
「それでいい、そうやって黙っていてくれ。じゃあ、聞かせてくれないか。なるべく、詳しく」
陶子はかすかに頷く。
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