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「……オーウェンよ……」
と、ドッペルが厳しい顔で言う。
「どうしたんだい? 爺ちゃん?」
オーウェンが訊き返すと、
ドッペルは鋭く目を見開いて、
「いざッ、飯はッ、まあぁぁだかのううぅぅぅぅゥッ」
まるで世界の終りに立ち向かうかのような形相で言った。
そして、
「まだでござるよ」
ドッペルの隣に座る全身甲冑の男が応じた。
この男こそ、店に極東製の甲冑しか置かないという謎の防具屋・武蔵である。
「……まだって言うか、さっき食べたばかりなんだけどね……」
苦笑いしながらオーウェンは言った。
そして……、
そういう連中の集まる円卓の、その下座に彼女は座っていた。
シオン。
武器屋の看板娘である。
彼女はワクワクしていた。
それまでの会議は武器屋の主人である父が出ていたが、その日は体調を崩した父の代理でシオンが出ることになったのだ。
何というか、責任感が刺激されるのだ。
シオンは元々、接客業が好きなのである。
武器屋の仕事にも相応以上の面白さを感じている。だから、そのなかで責任を与えてもらえるのは、彼女にとっては実に誇らしいことだった。
「私、よかったら、ご飯作って来ますけどッ」
もの凄い勢いで立ち上がりながら、シオンが叫ぶ。
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