第一話  本日限定、ゴブリンキラーを特売しますッ・前編

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「……オーウェンよ……」  と、ドッペルが厳しい顔で言う。 「どうしたんだい? 爺ちゃん?」  オーウェンが訊き返すと、  ドッペルは鋭く目を見開いて、 「いざッ、飯はッ、まあぁぁだかのううぅぅぅぅゥッ」  まるで世界の終りに立ち向かうかのような形相で言った。  そして、 「まだでござるよ」  ドッペルの隣に座る全身甲冑の男が応じた。 この男こそ、店に極東製の甲冑しか置かないという謎の防具屋・武蔵である。 「……まだって言うか、さっき食べたばかりなんだけどね……」  苦笑いしながらオーウェンは言った。  そして……、  そういう連中の集まる円卓の、その下座に彼女は座っていた。  シオン。  武器屋の看板娘である。  彼女はワクワクしていた。  それまでの会議は武器屋の主人である父が出ていたが、その日は体調を崩した父の代理でシオンが出ることになったのだ。  何というか、責任感が刺激されるのだ。  シオンは元々、接客業が好きなのである。  武器屋の仕事にも相応以上の面白さを感じている。だから、そのなかで責任を与えてもらえるのは、彼女にとっては実に誇らしいことだった。 「私、よかったら、ご飯作って来ますけどッ」  もの凄い勢いで立ち上がりながら、シオンが叫ぶ。     
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