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「黙れッ、座れッ、そんで死ねッ」
上座からスミスが全力で言っていた。
「じゃ、話し合い始めんぞ」
舌打ちしながらスミスが言う。
「えっと、で、何の話だっけ?」
隣でオーウェンがのんきそうに頬を掻いているのを見て、スミスは舌打ちに溜息を重ねた。
「だから冒険者だよ。冒険者ッ。ったく、テメェ等、今のヴィナス村の危機を理解してんかッ」
「いざッ。理解しておるぞッ」
と、意気揚々とドッペルであるが、
「……つまり、ワシの飯はまだ来とらんッ?」
「爺ちゃん。ここはレストランじゃないんだよ」
「クソジジイッ。もうアンタ、飯食いに帰れッ」
そんなこんなの会議の始まりであった。
「まぁスミス殿の言いたいことは理解できるでござる。このところ、冒険者が殆ど来なくなってしまった件でござろう」
武蔵が言う。
格好の割に、発言はまともな男だ。
「武蔵のいう通りだ。そもそも、このヴィナス村は魔王城を目指す冒険者達が、最後に立ち寄る場所として栄えてきた村だ。二十年前のアメリゴ姫連れ去り事件に始まり、十年前なんかはもう冒険者バンバンだったワケだ。最後の戦いに備えて、もう、冒険者たちは惜しげもなく金を使ってくれた」
「うむ。あの頃は良い時代でござった」
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