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「確かに。拙者も今、この甲冑を脱ぎたくて堪らんでござる」
「……うん。そもそも着なくて良いんじゃないかな……」
もっともなオーウェンだった。
「冒険の目的も変わってきてるよねェ」
オーウェンが言うと、
「そうでござるな。昔はもっとガンガンに、オラオラ系の勇者がパーティーを引っ張って、とにかくチャレンジを繰り返していたでござる。どんどん敵の強いエリアへ、そして魔王城を攻略して、アメリゴ姫を助け出そうと、そういう冒険が主流だったでござる」
いつの間にか甲冑を脱いで、ふんどし一丁になった武蔵が応じた。
そこまで脱ぐとは誰も思わなかった。
それが皆の素直な感想だったのだが、まあ、脱いでしまった物は仕方ない。
武蔵は脱ぐ、されど会議は回る、である。
「だが、今となっては、そんな剛毅な冒険を望む者は少ないでござる。近場でそれなりに冒険して暮らしていくというのが今の主流でござるな」
「そうだねェ。まぁ、アメリゴ姫も浚われてから時間経ち過ぎてて、そろそろアラフォーだってのも、まぁ、冒険者のモチベーション低下に繋がっちゃってるよね」
お姫様、今年で42歳である。
そんな具合で話が進んでいたその時だった。
「黙れッ、クソ野郎どもッ。そんな解りきった話ばっかしてんじゃねェッ」
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