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「武蔵ッ。テメェ、ただの変態かと思いきや、熱いこと言ってくれんじゃねェか。何か考えがあんのかッ?」
「考えは、……まだない、でござる……」
「ねェのかよッ」
「無念ッ。しかしながら、拙者、スミス殿に協力するため、一肌でも二肌でも脱いでみせよう考えでござるッ」
繰り返すが、武蔵はふんどし一丁である。
武蔵が意気揚々と言い放つのに、
「むしろ三肌ぐらい着て欲しんだけどね」
オーウェンが言った。
「いざッ、飯はッ、まあぁぁだかのううぅぅぅぅゥッ」
武蔵の気合に反応したのか、ドッペルも叫んでいた。
そんな円卓の下座から、
「あの~~、すみません。良いですか?」
ふと、シオンが手を挙げていた。
「おッ、何だ? 武器屋の小娘?」
スミスが言えば、
「はいッ。武器屋の小娘的には、やはりヴィナスの名産品はドラゴンキラーだと思うんです」
目をキラキラさせながら、シオンが答える。
それからシオンは、
「どうでしょうか? ドラゴンキラーを他の大きな街で売ってみるというのは」
自信満々に告げた。
それは村を救おうとするシオンの本音だった。
シオンはドラゴンキラーに並々ならぬ思い入れがある。
祖父が魔王城のある岩山から苦労して採掘してきた鉱石を加工した特殊鋼。それを元に父が完成させたのがドラゴンキラーである。
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