序 異世界『アナザルド』の日常

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序 異世界『アナザルド』の日常

 剣と魔法の異世界『アナザルド』は、今、魔王軍の脅威に晒されていた。  魔王にさらわれたアメリゴ王国の王女。  魔王打倒に立ち上がる勇者たち。  世界各地で繰り広げられる激しい攻防戦。  ……嗚呼……。  そこは数多の物語に紡がれし正当なるファンタジーの世界だ。  多くの冒険者がロマンを重ねし王道の筋書きだ。  そうであるはずだ。  ただし……、  それはあくまで勇者として、冒険者としての話……、  冒険者ではない者達にとって、アナザルドは紛うことなき現実である。  アナザルドにおいて、魔王城に一番近い村として有名なヴィナス村。  そのヴィナス村も例外ではない。  ほうら。  ヴィナス村の武器屋の扉を開けば……、 「いらっしゃいませ~~。どうぞ、お品物を見ていってくださいねッ。本日限定、ドラゴンキラーが特売となっておりますッ。装備するも良し、装備できないなら飾って眺めるのにも最適ですよ~~ッ」  と、声高らかに商売に励む看板娘の姿があった。
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