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すると梨華はちょっとだけふふっと笑った。 「そう 雨なんかにならないと思ってたのに」 語尾が少し震えていた。 「正直ね、ちょこっと自信あったんだ~」 雨音に混じって鼻をすする音が一度だけ聞こえる。 「でも難しいね 」 梨華が割り切ったように言う。 「そうだな」 本当にそう思う。 両思いであると思っている相手が 本当に両思いなのかなんて 天気が当たる事よりもはるかに低い確率。 ならばいっそ 天気が気まぐれに晴れるよう 自分の好きな人もこちらを向いてくれるようになればいいのに。 今、同じ傘の中にいる梨華が 急にでもいいから俺を男として 見てくれればいいのに。
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