第1章 僕とあの人

1/8
前へ
/10ページ
次へ

第1章 僕とあの人

いつもこの部屋は薄暗くて、寒い。 湿度を帯びた空気はどんよりと思く、古い水を使った遊園地のアトラクションのような匂いが立ち込めていた。 後ろ手に障子を閉めると圭太はランドセルを脇に乱暴に置いた。 薄暗い部屋にさす、夕焼けの微かな光の中にホコリが立ち込めるのがチラと見えた。 8畳ほどのこの和室には灯をとるようなものはない。 夜になれば全て暗闇に飲まれてしまうだろう。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加