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しばらくすると、点々と白い物が無造作に散らばっているのが見えた。この世界に私たち以外の色があるのが新鮮で、ついふらふらと吸い込まれるようにして側まで来た。 見ればそれは蝋燭だった。それも先端のロウが溶けた、一度使われていたらしいものばかりだった。 しかし、なんだか妙に先端が尖っているものが多い。まるでその部分だけあらかじめ細くなっていたような。無い首を傾げていると、いつのまにか神様がすぐ隣に立っていた。 「この蝋燭たちは、なんで死んだと思う?」 「え?」 ヒントと人差し指を立てた。曰く、蝋燭の太さは幸福を表す。太ければその分幸福であり、細ければその分だけ不幸であるだそうだ。 ここまで近づいて、初めて気がついた。神様の蝋燭は、波みたいな緩やかな曲線。崖のように鋭い落差。似たような形は数多くあるけれど、一つとして同じ物がないってことに。 ちなみに。神様は壊れ物を置くようにソッと蝋燭をつまんだ。それもやはり、くびれのように細くなっている部分がある。これも、そんな風になってしまうかもしれないと、ほんの少し眉をひそめた。 「先端が細いってことは、そこで火が消えたってことだよね。」 「うん、そうだよ。」 「細くなってる分不幸だってことだから、えっと、ポキって折れちゃったとか?」 「この蝋燭たちは折れないよ、絶対に。火が消えるまで、命が尽きるまで、ただ溶け続けるのみさ。」 なら、事故で死んだとか?苦し紛れに捻り出した答えも笑って一蹴されてしまった。うーんと頭をひねっても、いい考えは生まれない。まぁ動きながら考えてみなよと、神様はまた歩き出した。
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