89人が本棚に入れています
本棚に追加
/282ページ
☆
……グリューンヴォルフ達による奇襲を受けてから、およそ1時間後。
ようやくあと半刻ほどで目的地に到着といったポイントまで足を進めたテオドール達だったが……しかし、ここに来て彼らの進軍速度は大きく落ち込み始めていた。
……というのも、過度な疲労によって警備隊員達の動きが著しく悪くなったためである。
まあ、無理も無い話だった。
今はただでさえ心身ともに消耗する樹海行軍中。それも、かなりのハイペースでここまで歩き進めて来ている上、今回テオドール達は勇者の護衛まで行っているのだから。
「はぁ……はぁ……っ」
1歩、また1歩と踏み出すごとに、あごから滴り落ちる大粒の汗。
その大粒の汗を虚ろな目で見つめながら、亡者のような足取りで着いて来る部下達の姿に、流石のテオドールも思うところがあったのだろう。ここに来て鬼の警備隊長は10分の休憩を勇者に提案し、レオンハルトが首を縦に振った後にそれを部下達に言い渡したのだった。
各自が持参した水筒に口を付け、額の汗を拭う中、自身も額に大粒の汗を滲ませながら、それでも努めて平静を装いつつテオドールはレオンハルトに声を掛けた。
最初のコメントを投稿しよう!