戦乙女はじめました2

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 「【……穿(うが)て、螺旋(らせん)の剣。砕け、裁きの鉄槌(てっつい)……】」  唇から玉音の声が滑り出すのと同時に、レオンハルトの体が緑と白の魔力光……風属性と光属性の輝きを帯び始める。  (……この場所まで走って来た時、俺は土人形(ゴーレム)達以外はさっきの2人の気配しか感じなかった。つまり……)  ……それは、すなわち“この近くに土人形達を操っている術者はいない”ということ。  だが……。  (【変成魔法】はかなり高度な術式。そして、あの数の土人形を量産しようとすれば、普通は“最低でも熟練の術士が30人は必要”になる)  ……では、いったいあの土人形達はどうやって動いているのか……。  ……いや、そんなものは決まっている。  (こんなめちゃくちゃな芸当ができるのは、きっと“奴”しかいない……ッ)  「【厳格たる清き一撃を()ってして、悪しき魔物を討滅せよ】」  胸の内に打倒すべき敵……あの魔王軍参謀総長のニヤケ面をイメージしながら、レオンハルトは更に魔力を練り上げ、術式を完成させ、そして……。   ありったけの義憤の念と共に、一気に解き放った。  「打ち砕け、【ラインヴァイス・メテオ】!」  ――直後、世界は光に塗りつぶされた。
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