戦乙女はじめました3

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       ☆  (どこだ!? いったい、あいつはどこに……っ)  緑色の燐光(りんこう)に照らされた通路を、一陣の風となってレオンハルトは走っていた。  華奢(きゃしゃ)な腕を大きく振って、細い足で(こけ)に覆われた足場を踏みしめ、長い髪をなびかせながら、ほとんど直感だけで下へ、下へと進み続ける。  (あいつは……あいつだけは絶対に許さない。是が非でも倒してやる……!)  そのために、自分は……勇者レオンハルト・ヘルマンはここに戻って来たのだ。  卑しい魔族の衝動に支配され、人族としての品格を失ってまで繋ぎ止めた、この汚れた命を燃やして……今再び、忌まわしいこの場所へと。  ギギギ……ッ!  形のいい唇を歪ませ、小さな真珠のような歯を(きし)ませながら、紅と青。それぞれの瞳に憤怒(ふんぬ)の色を宿し、レオンハルトはひた走る。  そんな中……。  「ッ!」  ふと、レオンハルトは視線の先に“それ”を見つけた。  (あれは……ッ)  思わず目を見開く彼の正面……薄闇の立ち込める通路の奥に、白い体毛に覆われた獣……いや、“魔物”がいた。  長い耳をそばだて、紅い瞳で真っ直ぐにレオンハルトを見つめるその魔物は……『アルミラージ』。  およそ0.5メトルほどの大きさの、白いウサギの姿をしたそいつは、およそ数時間ほど前に“レオンハルトをジャンピエールの元に導いた”時計泥棒だった。
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