戦乙女はじめました3

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 それはとても刹那的(せつなてき)で、しかし、アルミラージからすれば永遠のようにも感じられる命賭けの鬼ごっこ。  ……だが、そんな勇者と白ウサギの追いかけっこは、不意に終わりを告げる。  『キュウッ!!』  次の瞬間、甲高(かんだか)い鳴き声と共にアルミラージが通路に空いた横穴へと飛び込んだ。  「っ!」  鋭く息を呑み込みつつ、レオンハルトも標的の後を追って横穴に飛び込む。  すると……。  (これは……っ)  直後、レオンハルトは一気に広い空間に飛び出した。  そこは、今までのように細く入り組んだ通路ではなく、半球状の大きな空間。  見渡した感じ直径約40メトルほどで、壁には通路同様に薄緑色に光る(こけ)が生えていて、天井にはまるで血管のように木の根が張り巡らされていた。  しっとりと湿り気を帯び、ひんやりした空気の中、レオンハルトはすぐに今まで追いかけていた白ウサギの姿を捜して視線を巡らせ……。  ……そして、  『キュキュウッ!』  「ッ……!」  瞬間、レオンハルトは息を呑み込んだ。  それは、鼓膜を揺さぶったアルミラージの鳴き声にはっとしたから……ではない。  鳴き声が聞こえた方へと視線を向けると同時に、“ついに探していた人物を視界に捉えたから”だ。
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