戦乙女はじめました3

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 「……ジャン、ピエール」  レオンハルトの唇から乾いた声音が漏れる。  同時に、大きく見開かれた青と紅の瞳に燃えるような怒りの色が宿り、彼の小さな拳は震えるほどに強く握り締められて……。  ――しかし。  「なんだ、これ……」  燃え盛る怒りの感情とは別に、もう1つ、レオンハルトの心を揺さぶるものがあった。  それは……強い戸惑いの感情。  「何者だ」  次の瞬間、まるで刃のような剣呑な声音がレオンハルトの耳を揺さぶった。  若い男の声。けれど、“ジャンピエールのものではない”。  「答えろ、女。貴様は何者だ。なぜここにいる?」  再びの誰何(すいか)の言葉。  その台詞と共に、“血溜まりに沈むジャンピエールの頭を踏みつけながら、角の生えた大柄な男は険のある眼差しでレオンハルトを注視する”。  ……そう。  今、ジャンピエールは倒れ伏しているのだ。……それも、大きく広がる血溜まりの中で。  (……これは、いったい……)  レオンハルトの脳裏に空白が生まれ、そして、次の瞬間にはいくつもの疑問が湧き上がる。  ――あの男は誰だ?  ――奴こそなぜこの場所にいる?  ――どうしてジャンピエールが倒れている?  ――それに、ジャンピエールが倒れているのなら、地上の土人形(ゴーレム)達はいったい誰が……?  状況に理解が追いつかず、半ば停止しかけた思考と共に、その場に立ち尽くすことしか出来ない……そんなレオンハルトに、再度大柄な男の声が降り注ぐ。  「答えろと言っているだろう?」
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