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軽く胸を張り、金色の瞳でレオンハルトを見下ろしながら、男はこう名乗った。
「俺の名はトイフェル。トイフェル・コルネリウス・フォン・べリアル。魔王国宮廷騎士団団長にして、現魔王ベルゼビュートの孫だ」
「トイフェル……魔王の孫……」
僅かに目を伏せ、レオンハルトは相手の言葉を反芻する。
『トイフェル』、その名前には聞き覚えがあった。
魔王国の宮廷騎士団を統括する男の名前にして、魔王ベルゼビュートの血族。
……もしも大男の言葉が真実ならば、確かにレオンハルトが事前に知り及んでいた情報と符合する。
それに……。
「さぁ、俺は名乗ってやったぞ。次はお前の番だ」
横柄な物言いと共に、腕を組んであごをしゃくる大男。
恵まれた体躯を揺らしつつ、1歩前へと進み出た男が身に着けている、その鎧の胸元には……。
(あれは、『逆十字』の紋章……魔王軍の証……!)
そう。
男が身に着けている鎧には、逆さになった十字架の意匠……魔王国の軍人のみに許される印が施されていた。
……どうやら、あの男の……いや、トイフェルの言葉は真実らしい。
レオンハルトは軽く息を吸い込みつつ、相手の質問に答える。
「……俺はレオンハルト。レオンハルト・ヘルマン」
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