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「レオンハルト……?」
直後にトイフェルの片眉が吊り上がる。
彫りの深い精悍な顔に、一瞬心に何か引っかかるような気配を滲ませ……そして、
「……クッ、ふはは。そうか。魔族の、それも見たところ純血ではない娘の名に『レオンハルト』か……」
次の瞬間、トイフェルはにやりと口の端を歪ませ、豪気な笑みを浮かべた。
「なるほど、大した皮肉だ。半魔の娘に、男の……それも人族の勇者の名とは。いや、確かにそれならばその襤褸切れ1枚の服装も、荒んだ表情も言葉遣いにも納得がいく。今までさぞ苦労したのだろう?」
「……トイフェル。お前は、ここでいったい何をしている?」
憐憫の滲んだトイフェルの言葉をあえて無視しつつ、レオンハルトは質問する。
今までよりも僅かに鋭さを増したレオンハルトの言葉に、魔族の騎士は端的に答える。
「裏切り者の粛清だ」
「何……?」
トイフェルの言葉にレオンハルトははっと目を見開いた。
どきりと心臓が跳ねるのを感じて、それを気取られないよう平静を装いつつ、そっと視線だけを血溜まりに沈むジャンピエールへと移動させる。
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