戦乙女はじめました3

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 眉間にシワを寄せ、トイフェルは苛立たしげに口元を歪めた。  「流石に(しび)れを切らしてな。(とど)めを刺してやろうとしたところに、丁度お前が飛び込んで来たというワケだ」  改めてレオンハルトに向き直りつつ、肩を竦める魔族の騎士。  「おい娘。ところで貴様、いったいどうやってこの人工ダンジョンに入った? まさか偶然紛れ込んだ訳ではあるまい?」  「……殲滅魔法で地面を(えぐ)り飛ばして入って来た」  「ふははっ。ではもう一つ質問だ。貴様、もしかしてジャンピエールの知り合いか? 先ほどからずいぶんと奴を気にしているようだが……?」  「……知り合い、じゃない。その男は……俺の標的だ」  「標的?」  「ああ。そいつからは叶いもしない絵空事を一方的に訊かされたり、忌々(いまいま)しい呪いを掛けられたり……。おかげで、俺は国に帰ることも、勇者としての使命を果たすこともできない。だから、最後にその男、ジャンピエールだけはこの手で始末したい」  押し殺した声音で伏し目がちに話すレオンハルト。  「『勇者としての使命』……? ふはははっ。なんだそれは。その言い方ではまるで、貴様が人族の勇者のよう――」  大きく口を開けて呵呵(かか)と笑いながら、涙すら滲ませてトイフェルがレオンハルトを指さした……次の瞬間。  ドゴォッッッ!!!  ――踏み込み1つでトイフェルに肉薄したレオンハルトが、硬く握り締めた小さな拳を相手の顔面に叩き込んだ。
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