戦乙女はじめました3

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 (これは……ッ!)  振り上げられたレオンハルトの足。  その足の先に、竜巻のように渦を巻く“白”と“赤”の光芒(こうぼう)を認め、  「ぐッ……!」  咄嗟にトイフェルが両腕を交差させた……次の瞬間。  ボゴォッッッッッ!!!  ……蹴りを受けたトイフェルの腕から、冗談のような爆音が炸裂(さくれつ)。同時に半球状の空間全体に音と光と熱の嵐が吹き荒れた。  ――【シュトラーフェン・カノーネ】。  それは、【火】と【光】。2つの属性を組み合わせた超火力の魔法。  膨大な熱と衝撃によって対象を粉砕する勇者の一撃。  稲妻のように鋭く、堅牢な城塞さえ打ち崩す強力な蹴りは、トイフェルの防御を易々と貫いて、瞠目(どうもく)する魔族の騎士の胸に深々と突き刺さった。  「ぐォ……ッ」  苦悶の(うめ)きと共に、渦を巻く炎に巻かれながらトイフェルは派手に吹き飛ばされる。  まさに矢のような勢いで宙を舞う魔族の騎士は、そのままなす(すべ)なく空間の壁に激突。  (こけ)に覆われたダンジョンの壁面にその巨体を半ばほど埋もれさせながら、やがてトイフェルは完全に動きを止めた。
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