戦乙女はじめました3

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 それでも、悲願を果たした彼は喜びと悲しみが混在するその顔のまま、そっと意識を手放しかけて……。  ……しかし、  「……やってくれたな、レオンハルト」  次の瞬間、背後から掛けられた男の声に、闇に落ちかけたレオンハルトの意識は急速に引きずり戻される。  「っ!?」  はっと息を呑み込みながら、咄嗟に振り返った直後、丸太のような男の腕がレオンハルトの細い首に伸びた。  「がっ……!?」  節くれ立った無骨な手で首を掴まれ、そのまま吊り上げられてしまう勇者。咄嗟に反撃しようと足掻くものの、既にほとんど力は残っていない。  もはや今の彼は、その可憐な見た目と同様の無力な少女そのものだった。  「いやはや、先ほどは小娘の戯言(ざれごと)(あなど)って申し訳ない。まさか、貴殿があの勇者、レオンハルト・ヘルマン本人だったとはな……」  ゆっくりと紳士的な口調で語り掛けながら、魔王国宮廷騎士団団長、トイフェルは片手で吊り上げたレオンハルトの顔をまじまじと観察する。  「トイ…フェル……。お前、どうして……」  『お前はさっき倒したはず。どうして動くことが出来る……?』  歯を食い縛り、目尻に涙を浮かべながら、掠れた声で問うレオンハルトに、トイフェルは口の端を吊り上げ、けれど目だけは笑っていない顔で答えた。
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