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「危ない所だったよ。お前の蹴りで吹き飛ばされた後、数瞬とはいえ気絶してしまってね。意識を取り戻した後、咄嗟に万能薬を服用して、すぐさま土系の防護魔法で身を守らなければ死んでいたところだ」
ははは、と、トイフェルは精悍な顔を綻ばせ、柔和に微笑みながら……。
ドゴォッッッ!!!
――次の瞬間、巌のような拳でレオンハルトの顔を殴り飛ばした。
「ッ――」
それはまるで、戦鎚による殴打のごとき一撃。
常人ならば頭蓋骨が砕けるほどの衝撃に、レオンハルトの意識が白く霞む。
「あ……ぐ……ッ」
ろくに悲鳴も上げられないまま、勇者の華奢な体は紙クズのように吹き飛ばされ、不格好に地べたを転がった。
「はぁ……はぁ……はぁ……っ」
(くそ……っ)
頬に燃えるような痛みを感じながら、激痛にあえぐレオンハルト。
反射的に起き上がろうとするものの、彼の体はもう言うことを聞かない。
「……全く、一騎当万だか何だか知らんが、人族の小僧がよくもここまで手こずらせてくれたものだ」
嬲るような口調と共に、ゆっくりと倒れ伏せる勇者へと歩み寄るトイフェル。
小さな真珠のような歯を食い縛り、真っ直ぐに睨みつけて来るレオンハルトを再び吊り上げた彼は、今度は破れた服から柔肌を覗かせる相手の腹に、渾身の掌底をぶち込んだ。
ズシンッッッ!!
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