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「ぐっ!?」
仮借の無いトイフェルの攻撃はレオンハルトの肋骨を砕き、内臓にダメージを与えた。
「う……げほっ!? げほっ!?」
レオンハルトは再び地べたを転がりながら、今度はむせたように何度も咳き込んでしまう。
「……おまけに、こちらの目的だったジャンピエールまで始末されるとは……。このトイフェル、ここまでの屈辱を味わったのは初めてだ」
怒気の滲む声音と共に、再びレオンハルトに歩み寄るトイフェル。
口から血を吐き、可愛らしい顔を涙と鼻水で汚す彼の首を掴み、再度吊り上げながら、
「おい小僧……いや、今は小娘か。……まぁいい。とにかく、俺に楯突いたこと、恥をかかせたこと。その落とし前はつけさせてもらうぞ……?」
「……はっ。き、騎士の……くせに、おしゃべりな……ヤツだな。……さっさと、殺せばいいだろう……? それで、俺の首でも……なんでも、魔王に献上すれば――」
「殺す、だと? 貴様は何を言っている……?」
微かに目を見開き、軽く首を傾げるトイフェル。
怒りの感情が頂点を越えて、少しずつ、少しずつ表情が消えていく相手の顔に、思わずレオンハルトが言い知れない不気味さを感じた……次の瞬間。
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