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この時初めて、微かだがレオンハルトの瞳に恐怖の色が浮かび、華奢な彼の体は子どものように頼りなく震え始めた。
「ククク……ッ。どうした、怖いのか? 震えているぞ」
徒に弱者をいたぶり、弄ぶような……そんな、ねっとりとした嗜虐の色を言葉に、表情に滲ませながら……。
……おもむろに、トイフェルはもう片方の腕をレオンハルトの胸元に伸ばし……そして、そのまま“相手が身に付けているボロボロの服を引き千切った。”
「ッ――!!」
――直後、何も守るものが無くなってしまったレオンハルトの胸が……。
……今、彼が最も見られたくなかった“少女の部分”が曝け出されてしまう。
「ほぅ……」
あごに手を当て、粘つく笑みを浮かべるトイフェル。舐めるような相手の視線に、たまらずレオンハルトは身震いし、塞がれている口から声にならない悲鳴を漏らした。
(こいつ……ッ!)
あまりの衝撃によって、あらん限りに見開かれたレオンハルトの大きな瞳には、相手への怒りと羞恥、そして屈辱と悔しさの感情が滲み出し、ぐちゃぐちゃに混ざり合い、飽和して、瞬く間に透明な雫になって溢れ出した。
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