戦乙女はじめました3

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 名誉を傷つけられ、尊厳を踏みにじられ、誇りを汚され……。そして今、貞操(ていそう)さえも(おびや)かされようとしている中、胸を満たす屈辱と沸き立つような嫌悪感のせいで悪心(おしん)すら催しながら……。そっと、レオンハルトは目を伏せた。  まるで、少しずつ破滅へと向かっていく己の運命から顔を背けるように。あるいは今にも潰されそうな精神を守るため、外部からの全ての情報を断ち切り、心の(から)に閉じ籠るように……。トイフェルへの抵抗をやめて、それこそただの少女のようにガタガタと震え、怯えるだけの存在になりながら……。  (少し……。ほんの少しでいい。俺に魔力が、魔力さえ戻れば、こんなやつなんか……)  最後に、レオンハルトは胸の内で1つ、涙に濡れた言葉を吐いた……。  ――その、直後だった。  「おっと。そこまでだよ、トイフェルくん。それ以上その子を泣かせるような真似は、例え魔王様の孫でも見逃せない」  不意に、どこからか声が響いた。  「……何?」  数瞬後、顔を上げたトイフェルは、険しい視線を周囲へと巡らせ……。  (え? え……?)  同時に、レオンハルトは数秒ほど状況を忘れ、思わず困惑気味に(まばた)きを繰り返した。
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