戦乙女はじめました3

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 (今の声……まさかっ)  不意に脳裏を(よぎ)った“その可能性”を、しかしレオンハルトはすぐさま否定する。  (そんな、ありえない。確かに“ヤツ”の息の根は止めたはず……。きっと、タチの悪い幻聴か何か――)  「もう大丈夫だよ、勇者ちゃん。僕が今すぐにキミを怖い怖い悪者から奪い返してあげるからね」  「だから、もうほんの少しだけ待っててね」と、まるで大人が子供に言い聞かせるような“ヤツ”の物言いを耳にした瞬間、レオンハルトは改めて両目を見開き、今までとは違う意味で体を震わせ始めた。  (……あ、あの野郎……ッ!!)  思わず小さな両手をぐっと握り締めた瞬間、弾かれたように起き上がろうとする。  ……間違いない。“ヤツ”は、ジャンピエールはまだ生きている。  あの業火の中で、いったいどういうカラクリを使ったのかは分からないが……しかし、  (あいつは……あいつだけは絶対に許せないッ。是が非でもぶっ潰す……!)  全身の血が沸騰(ふっとう)しそうなほどの怒りに駆られながら、今までのしおらしさが嘘だったかのような剣幕で、息を吹き返したようにレオンハルトは体勢を立て直そうとする。
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