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「それよりもトイフェルくん……。キミ、いいのかな? 勇者ちゃんからよそ見なんかしてさ」
「あぁ……?」
ジャンピエールの言葉に片眉を吊り上げ、トイフェルが怪訝そうな表情を浮かべた……。
――その直後。
ドゴッッッ!!
「――ッ!?」
不意に、トイフェルは腹部に抉るような衝撃を受け、苦悶の表情と共に吹き飛ばされた。
(な……なんだ!?)
背中から地へと叩き付けられ、無様に転げ回りつつも、素早く体勢を立て直した魔族の騎士は目の前へと視線を向け……。
……そして次の瞬間、彼は凄まじい勢いで自らの顔に迫り来る小さな握り拳を捉えた。
「くッ!?」
咄嗟に息を呑み込むトイフェル。……しかし、状況を理解したところで彼の体は反応など出来ず、一瞬の後に魔族の騎士の顔面には子供のように小さな、けれど巨岩さえ粉々に粉砕するほどの拳が突き刺さった。
グシャッッッ!!
「あが……ッ!?」
強制的に首を跳ね上げられ、トイフェルの視界がぐるりと回る。
鼻から脳天へと衝撃が突き抜け、吐き気すら催した。
(く、くそ……クソがッ!)
チカチカと光の明滅する視界の中、遅れてやってきた激痛に顔をしかめながら……それでも、トイフェルは歯を食い縛って正面を見据えた。
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