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……その姿は、簡潔に言ってしまえば“巨大な熊”。
それも、天を衝くほどの体長を誇り、全身に鎧のような剛毛を纏い、両腕の先にナイフのような漆黒の鉤爪を持ち……そして、両の瞳に滴るほどの殺意を漲らせた、酷く凶悪な顔の熊。
「これは……『シュタールベーア』!」
ふとレオンハルトの口から漏れた言葉に、テオドールが反応を示す。
「……あれを知っているのですか? 勇者様」
素早く隊員達に指示を出し、モンスターに向けて巨大な鏃のような形のフォーメーション……偃月の陣を組み上げる警備隊長に、レオンハルトは右手にショートソードを構えつつ返答する。
「はい。以前に攻略したダンジョン内で対峙した事のあるモンスターです」
「なるほど……ちなみに、ヤツの弱点などは分かりますか?」
「ええ。シュタールベーアは土属性のモンスターですから、風の属性攻撃が有効です。……それから、あの時の個体は【身体強化】と【硬化】のスキル持ちでした。気を付けてください、ヤツの実力は推定で上級上位です……!」
僅かに緊張の滲んだ声音と共に、レオンハルトが力強く得物の柄を握った瞬間、鋼の大熊は目測4メトル近い巨体を揺らし、一気に躍りかかって来た。
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