勇者レオンハルト

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 深手を負ってなお、赤黒く(よど)んだ瞳に(したた)るような殺意を滲ませ、テオドール達を睥睨(へいげい)するシュタールベーア。  鋭い牙を剥き出しにしながら、微塵も衰えない闘志を全身から立ち上らせ、今再び彼が咆哮(ほうこう)と共に獲物達へと躍りかかろうとした……その時、  『ヴオオオオオオオオオ――』  「はぁッ!!」  『ガ……ッ!?』  血の混じった(よだれ)を吐き散らしつつ、シュタールベーアが大口を開けたその瞬間、鋭い踏み込みによって低い体勢から一気に前進したテオドールが、渾身(こんしん)の力で得物のバスタードソードを敵の口腔(こうくう)へと突き立てた。  (終わりだ、クマ公……!)  ブラウンの瞳にありったけの殺意を込めて、鬼の警備隊長が大きく目を見開いた鋼の大熊へと、更に強く得物をねじ込んだ……。  ……その数瞬後、まるで脈打つように、シュタールベーアはその巨体を大きく跳ねさせ、赤黒い瞳孔を散瞳させて……そして、永遠の眠りへと落ちて行った。  「はぁ……はぁ……」  事切れたシュタールベーアからバスタードソードを引き抜きながら、テオドールは何度も肩を上下させる。
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