89人が本棚に入れています
本棚に追加
/282ページ
「隊長!」
「大丈夫ですか!?」
「お怪我のほどは!?」
シュタールベーアの沈黙を認めると同時に、警備隊の面々が急いでテオドールの元へと駆け寄って行く。
「……なに、別にどうって事はねぇよ」
頬の血を拭いつつ、テオドールは隊員の1人が差し出してくれた液体入りの小瓶……回復薬を受け取り、服用する。
手早く体力の回復を行った彼は、今の戦闘で隊員に怪我人が出ていない事を確認すると、レオンハルトへと向き直った。
「勇者様。確か、先ほどの話では大きな気配は“4つ”との事でしたが、残りの3つは……」
今どこに? と、硬い声音で続けようとした……その瞬間――。
『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
再び、耳を劈く大音声がテオドール達に叩き付けられた。
「ッ!!」
鋭く息を呑み込みつつ、テオドールは隊員達と共に臨戦態勢へと入る。
咄嗟の出来事にも体に染みついた動きで反応し、感覚を研ぎ澄ませる彼らだったが……しかし、
『ヴオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
数秒後、凶悪な咆哮と共に、新手のシュタールベーア達は一斉にテオドール達へと襲い掛かった。
最初のコメントを投稿しよう!