樹海のダンジョン

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 ぶすぶすと灰色の煙を上げながら、瞬く間に燃え広がっていく臙脂(えんじ)の炎は、そのまますぐに切り株全体を包み込み、離れた場所に立っているレオンハルト達の元まで熱気を届かせ……。  ……しかし数瞬後、バスタードソードに灯した炎……炎系強化魔法【フランメ・マハト】への魔力の供給をテオドールが打ち切るのと同時に、まるで打ち寄せた波が引いて行くように、切り株の炎はしめやかに鎮火していった。  そして……。  「はっ!」  まだ(かす)かに火が(くすぶ)っていた切り株の一角へと、気合いと共に鬼の警備隊長が得物を振り下した……その直後。  唐竹の一撃によって、黒く(すす)けた切り株の表皮もろとも、幾重にも絡み付いていた青黒い(つた)が断ち切られ……同時に、今まで“蔦によって隠されていた木の(うろ)”が現われた。  「っ」  「……こちらが、先日新たに発見したダンジョン。その入り口です」  はっと息を呑み込むレオンハルトを前に、再びバスタードソードを腰へと収めつつ、テオドールは淡々と告げた。  「ここが……」  小さな声で呟きつつ、レオンハルトは切り株の元に歩み寄る。  そうして、テオドールと同様に手で触れられそうな距離まで切り株に近づいた彼は、そっと根元で口を開けている洞を(のぞ)き込んだ。
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