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しかし、この樹海に足を踏み入れた時から変わらない、軽い足取りで歩き続ける彼の申し出に、テオドールと呼ばれた先導……国王より国境警備隊隊長の任を賜った熟練の騎士は難色を示す。
「……お気使いありがとうございます、勇者様。ですが、我々が現在向かっているのは未知のダンジョンです。そして今は、国王様の緊急の命により新たに出現したダンジョンの調査に赴いている最中。あまり悠長にしている暇はございません、先を急ぎましょう」
レオンハルトの方を振り向きもせず、また、彼の言葉を受けて更に足早に歩き始めた騎士隊長に、若き英雄は苦笑を零す。
「我々が前線基地を発ってから、そろそろ三時間が経ちます。幾度かモンスターとの戦闘もありましたし、隊の士気のためにも、ここはやはり一旦休息を取りませんか?」
王国の紋章が施されたプレートアーマーの内側から、レオンハルトはハンターケース型の懐中時計を取り出し、時間を確認しつつそう言うが……いかんせんテオドールの反応は素っ気ない。
「ご安心ください。我が隊の隊員達は皆、日々過酷な鍛錬に耐え、国のための粉骨砕身をいとわない勇猛果敢な騎士達です。これしきの樹海行軍で音を上げる軟弱者などはおりませんので、どうぞお気になさらないでください」
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