89人が本棚に入れています
本棚に追加
/282ページ
まぁつまり、ここで何が言いたいのかと言うと……。
……それは、すなわち“ダンジョンは金になる”ということである。
そして、そんな“金のなる木”を新たに自国の兵が見つけたとなれば、是が非でも唾を付けたいと思うのが国としての道理で……。
現在、そんな国家の上層部の思惑に利用され、単身迷宮に潜る事となった若き勇者、レオンハルトは、暗闇の中で幻想的な青い光を放つキノコの明かりに照らされながら、不気味に静まり返ったダンジョンを探索している最中であった……。
……ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。
苔むした柔らかい足場を歩きながら、レオンハルトは周囲の気配に意識を注いでいた。
調査を開始してからそろそろ30分が経過する頃だが……しかし、歩みを進める彼の行く手には、未だにモンスターは現われない。順調に……ただ順調にダンジョンのマッピング作業だけが進んでいく。
(……なにか変だな)
今までに攻略して来た迷宮ならば、少なくとも既に2回はモンスターと遭遇している頃なのだが……。
(どこかに隠れているのか？ ……いや。だとしても気配すら全く感じないのはおかしい)
どういうことだ……？
最初のコメントを投稿しよう！