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ぐっと歯を食い縛るのと同時に、苦虫を噛み潰したような色がレオンハルトの顔に広がる。
端正な顔を歪ませ、右拳をキツく握り締めながら、若き勇者はたった今悟ったばかりの真実を口にした。
「ここは、この場所は“ダンジョン”なんかじゃない……!」
そう。
『王国』の辺境警備隊が新たに発見したこの迷宮……『樹海のダンジョン』は、“ダンジョン”ではなかった。
そもそもダンジョンとは、遥か太古の昔より世界各地に存在する、“超自然的な”迷宮群の総称である。
そんなダンジョンに対する一般的な認識として、『ダンジョン内にはモンスターが跋扈している』ことや、『ダンジョンは半永久的に鉱石や貴重な素材等のアイテムを獲得できる資源の宝庫である』ことが上げられるが……。
……実はもう1つ、世界中のどのダンジョンにも共通する特徴があるのだ。
それは、『ダンジョンの構造は破壊されても自動で修復される』というものである。
迷宮が自己再生する理由については様々あるが……とにかく、
(壁を破壊したのに、10分以上たっても修復が始まらないのはおかしい。その上、これだけ動き回ってもモンスターやアイテムの類も1つも見つからないってことは、つまりそういうことだろうな)
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