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思案の末、たどり着いた結論に眉根を寄せながら……しかしレオンハルトの中で今度は別の疑問が首をもたげた。
(モンスターがいない。アイテムもない。構造の自己修復も始まらない。だから、ここはダンジョンじゃない……でも、だとしたらここは……)
『グリューンメール樹海』の地下広くに広がり、“まるで整備されたような通路を延々と続かせる”この場所は、いったいなんだ?
ここが自然にできた地下空洞でないであろうことに、レオンハルトはもう気付いている。
(そうだ。考えてみれば入り口の切り株もおかしかった。それに、この通路だって今思えば違和感を感じる。……この場所には、明らかに“人為的な力”が働いている……っ)
(ならば……)。と、レオンハルトがそこまでのことに思い至った、その直後。
『キュッ、キュウ』
――不意に、レオンハルトの“背後から”何かの鳴き声が聞こえた。
「ッ!」
はっと息を呑み込むと同時に、腰のショートソードに手をかけつつ振り返る。
……視線の先、通路に広がる薄闇の奥には、いつの間にか1体のモンスターが佇んでいた。
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