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☆
ドシンッッッ!!
まるで永遠のように感じられるほど、長い長い自由落下の果てに、レオンハルトはついに穴の底へと到達した。
「づッ、あああああ……ッ!?」
思いっきり尻から着地した瞬間、常人ならば痔になるどころか肛門が裂けて死ぬレベルの激痛を受け、尻を押さえてのた打ち回る。
言葉にならない悲鳴と共に、およそ3分ほど、今際の際のミミズのような動きでもがいていた彼は……それでも、ほどなくして平静を取り戻し、目尻に滲んだ涙を拭った。
「はぁ……はぁ……はぁ……!」
荒い呼吸を繰り返しつつ、左腕には痛みに喘ぎながらも放さなかったアルミラージを抱え、右手でじんじんと痛む尻をさすり続けるレオンハルトは、とりあえず周囲の光景へと視線を巡らせた。
先ほどまで探索を続けていた通路と同様、壁や足場のそこかしこに光るキノコの生えているこの場所は、どうやらかなり広い空間のようだ。
試しに足元に転がる石を蹴り飛ばし、音の反響の具合を確かめてみるが……やはり。
幅も、奥行きも、高さも、先刻までの通路とは比較にならないほどの規模らしい。
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