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……現われたのは、長身痩躯の男だった。
およそ1.8メトルほどの体に青灰色のローブを身に纏い、亜麻色の頭髪を持ち、そしてローブと同じ青灰色の瞳を持った、一見すると優男風の人物。
にこにこと人の良さそうな笑みを浮かべながら近づいて来る彼に……けれど、次の瞬間、レオンハルトは空間全体を震わせるほどの大音声を叩き付けた。
「ッ、動くなッ!!」
「っ、な、なにかな?」
流石にびくりと肩を震わせつつも、男はすぐに友好的な雰囲気を纏い直して口を開く。
だが、それに対してレオンハルトは眦を吊り上げながら、男の額……その“両側にそれぞれ突き出ている小さな突起”、『角』に視線を向けて、こう言った。
「……貴様、『魔族』か。答えろ。魔王の犬がこんなところで何をやっている……?」
魔族。
それは、魔王の手下である『闇の眷族』の総称である。
そして、彼ら魔族は皆例外なく“闇の魔力の源”である『角』を有しているのだ。
「ここで僕が何をやっているかって? それはね、勇者くん……他ならないキミを“歓迎”するための準備をして待ってたのさ」
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