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◇
数日後、
荷車の後ろに乗せてもらって、
薊花と秦盟は杏京を離れた。
むしろをかぶせてもらって門を通り、
街道をかなり進んでから、
そっと顔を出す。
ようやく桃が少し咲きはじめる頃だ。
春の土の匂いがする風が、
やさしく吹いている。
「風の叔母さん」
薊花は心の中で呼びかける。
「これで、
いいのでしょうか」
薊花だけに聞こえる声が返る。
「心のままにお生きなさい。
天の理は玄妙に隠されています」
隣の秦盟は、
何かをやりとげた後のような、
すっきりとした、
少しぼんやりとした顔で、
道の先を見ていた。
杏京が、
遠ざかっていく。
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