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「『秀才』か、
『先生』か」
秦盟は、
まだ考えているようだ。
名前であり、
これからどうするか、
どんな生き方をするか、
ということでもある。
「おこがましいが、
二つ名なら許されるだろう。
俺は、
革命家として、
円璧先生の名でも継いでおこうかな」
薊花が笑う。
甘い声で呼ぶ。
「先生。
円璧先生」
「何だい、
薊花」
二人は、
そのあまりの似合わなさに噴きだす。
「まあ、
そのうち慣れるさ」
薊花は髪をすべて後ろに結い上げ、
薊の簪を挿している。
もう前髪はない。
既婚者の髪型である。
「長い道のりになるだろうな」
「ずっと、
ずっと、
一緒にいられますように」
秦盟と薊花は、
並んで手をつなぎ、
空を見あげた。
まだ、
春は浅く、
ほわりとした春霞が光をやわらげている。
すべては、
今、
やさしい。
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