天国への入口

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リノの少しだけさみしそうな顔が脳裏に焼き付いたまま 私は目を覚ました… 「夢?」 「夢を見たのかな?」 「ここはどこだろう?」 でも…これは夢じゃない 私の人生で一番覚えている瞬間の記憶 もっと楽しいことやうれしいことも、あったはずなのに… 天国への入り口で言われた 「あなたの人生は幸せでしたね」 「幸せな人は、幸せなできごとを全部忘れてここに来るんですよ」 そう…私は死んだのだ 何十年も子どもたちの幸せだけを祈りながら、生きてきたらしい 子どもたちが大人になって、幸せになったら死ぬんだって決めていたらしい あまりにも強く願っていたから、そうなったんだと、教えてもらった 大きく成長して、幸せになった娘たちの一切の記憶を 覚えていないことで、娘たちの幸せは保証されている これが、幸せな死…天国への切符なんだ でもね… 一番最後に見た記憶も、この先へ一歩はいると消えてしまう 私はきっと…あまり良い母親ではなかったのかもしれない 最後の記憶でさえ… あまり、感動的ではなかったから… でも不思議と…心は幸せで満たされている 「あぁ…よかった」 「すべて忘れてしまうから…娘たちは幸せなんだと…」 良い母親であったかどうかなんて、今はどうでもいい 愛する娘たちが幸せであれば、それでいい 私の頬を一粒の熱い涙がこぼれた 「ありがとう…リノ…フウカ」 「幸せでいてくれて」 私が死んだ理由 子どもたちが、誰よりも幸せになってくれた ただ…それだけ でも…これほどにうれしい死んだ理由はない そして… 私は天国へと一歩はいっていった

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