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エピローグ
「……」
笑い声が聞こえる『古風な家』を俺は、何も言わず外から眺めていた……。
「……ニャー」
その姿は、普通の人から見れば……俺は多分、黒く毛並みもとてもキレイな……『猫』だと思う。
――でも、俺は元々『人間』だ。
では、なぜ『猫』になったのか……というと、その理由はとても簡単だ……『気がついたらそうなっていた』だった。
いや、簡単に言うと俺は一度『死んだ』のだ。そして、気がついた時には『黒猫』の姿になっていた。
◆ ◆ ◆
「母様母様!」
「どうかしたの? 一恭」
廊下を走らない! とよく怒られていたが、この時の俺は「一刻も早く母様に会いたい」という気持ちで一杯だった。
「コレ……えっと、妹に」
「あら、可愛らしいわね」
照れくさそうに差し出した俺の手には、真っ白くキレイな花が握られていた。それにコレは、最近生まれたばかりの『妹』に渡す為に庭から摘み取ってきたモノだ。
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