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「あら、『妹』じゃなくてちゃんと『亞里亞』って呼んであげなくちゃ」
「うっ……」
俺は最初、この『洋風な名前』に違和感を覚えて実はあまり呼んでいなかった。
「母様」
「? どうしたの?」
「なぜ『亞里亞』という名前にされたのですか?」
「……やっぱり、不思議に思う?」
改まって聞かれてしまうと、正直反応に困ってしまう。それに、俺は最近家に出入りをしている『レオンさん』にある事を聞いていたのだ。
「うん……。それに、『アリア』って意味は『一人』って聞いて……」
「それは『レオン』から聞いたのね」
――なるほど、納得。という顔で頷いた。
「でもね。『アリア』という言葉は『一人』という意味ではなくて『独唱』という意味なの」
「どくしょう?」
「ちょっと難しいけど、簡単に言うと『独唱』は『一人』で曲を歌うから、あながち間違いではないわね」
「……そうですか」
一応説明はされたものの、結局俺は理解しきれていない。
ちなみに俺の名前も母様が名付けた。元々は『清らか』という文字を使って『一清』という名前になるはずだったのだが……。
しかし母様は、『見のほどをわきまえ、いつも冷静に自分を見つめることができる子に』という意味を込めてこの『時代』は珍しい『亮』という漢字を当てた。
「確かに『アリア』という言葉には、そういった意味があるけどね……この子には。『一人じゃない』って思って欲しくてね」
「?」
「よく分からないって顔をしているわね」
「いえ……そんな事は」
「私は……病弱だから、いつまでこの子のそばにいられるか分からないわ。でもね、私じゃなくてもこの子の周りにたくさんの人がいてくれると嬉しいなって思うの」
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