-死神を殺した勇者の話-

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人間が生きるこの世界には、どこまでも死神がいた。 死神は人間の魂を肉体から切り離す鎌を持ち、 生きていた人間は順番に死神の鎌で刈り取られたという。 死神は人間から恐れられる存在であった。 何億、何千、何十人、 人間は次第に数を減らしていった。 みんな死んでしまった。 立ち上がった勇者は人々の幸福を夢見て、 死神を殺すため世界中を探しまわった。 しかし死神は見つからないまま、 ついに生き残った人間は、勇者1人となってしまった。 それでも勇者は、誰もいない世界で死神を探し続けた。 やがて疲れ果て くずおれる年老いた勇者の前に死神は現れ、こう言った。 「勇者よ。君は最後の人間となり、最後の時が来た。 私は死神。人間に死をもたらす者。 死すべき人間がいなければ存在できず、人間を殺さなくては存在できぬ者。 私の半身よ。私は死。人間の生と共にある者。」 こうして勇者と共に死神は死んだ。 死神を殺した勇者の名を知る人間は誰もいない。 『死神の殺し方 -死神を殺した勇者の話-』完結
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