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疲れ果てた身体に鞭を打ち、八雲は慌てて部屋を出ようとする吉田の背中に抱き着いた。
「なんだよ」
「します……なんでも」
八雲の腕の中で身を捩り、吉田は自分よりも高い位置にある顔を見上げる。
「まるで俺がさせているみたいだな、それじゃあ」
屈辱を噛み殺し、腰を落としてゆく。吉田の太腿に掌を這わせながら、八雲はそっと囁いた。
「抱いてください」
「そうやって素直にしてればいいんだよ」
あからさまな仄暗い歓喜を顔面に貼り付け、吉田は八雲をベッドへ沈める。そのまま性急に脚を開かせ、先程まで指で弄んでいた蕾を押し拓くように腰を突き入れる。
息苦しさに喉を反らせながら、八雲は必死で吉田が満足の出来るよう、腰をくねらせる。
「堪んねえなあ、お前の躰は。女になんか戻れねえよ」
乱暴に腰を振る吉田に翻弄され熱を上げる頭の中で、八雲は二人を想った。これは吉田の嘘に違いないと分かってはいても、心配でたまらない。万が一本当だとしたら────。
余裕のない突き上げが止まり、ずるりと怒張が引き抜かれる。吉田は恍惚の表情で八雲を見下ろしながら、腹のうえに夥しい精を放った。
中に出せば小笠原にバレる。こう言うところも、狡い男だ。
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