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まだ中途半端に疼く身体もそのままに、八雲は肩で息を吐きながら吉田を見上げる。
「村上さんの事は……」
一度射精し満足したのか、乱暴な舌打ちが投げられた。
「やはり逃したのか。安心しな。小笠原さんは今も探しているよ。どうしても死体を見付けるまで安心出来ねえとさ」
やはり、小笠原はどう足掻いても村上を殺すつもりなのか。知らなかった恐ろしい真実に、身体は震え出す。だがどうすれば。
思考を巡らす八雲の耳元で、吉田は低く囁いた。
「そう言えばお前が逃した奴らなあ、俺が殺しておいてやったよ」
「なに」
驚いて振り返った先には、余りにも歪な笑みが待ち構えていた。
「小笠原さんの持っている山があるだろう。誰も入らねえちいさな山が。あそこになあ、全部捨ててやった」
やはり、所詮自分には何も守れない。その悲しい現実は、八雲の心を砕いてゆく。
「絶望したか」
嬉しそうに髪を撫でる吉田の顔を見ていると、不思議な感情が沸き起こった。
硬さを失った陰茎に指を這わせ、八雲は吉田の唇を舌先でなぞる。
「まだ、イかせてもらっていない」
高飛車なおねだりに、吉田は狙い通り嗜虐心を煽られたようで。再び八雲を抱いた。
先ほどよりももっと態とらしく、もっと媚びるように喘げば喘ぐほど、吉田は当てられて呻く。再び限界を迎え引き抜こうとする腰に脚を巻きつけ、八雲は吉田の首に腕を回し引き寄せた。
「ぬかないで」
え、と漏らす唇に口付けて、あまく囁いてやる。
「小笠原さんが来る前に処理するから、なかに出して」
そう煽られて我慢ができるほど、吉田は理性的ではない。深く突き入れられた屹立から迸る飛沫を奥底で感じながら、八雲もまた背をしならせ吐精した。
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