第八章 永遠の支配

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 吉田が満足して帰った後、三十分もせず小笠原が現れた。上機嫌で八雲の名を呼んでいた小笠原は、ベッドルームで倒れ込む八雲を見付け、手に持っていたスーパーのビニール袋を落とした。  その音に慌てて起き上がった八雲と視線が絡み、肉厚の唇が震える。 「なんだ、これは」 「ごめんなさい……!」  瞳に涙を溜め、八雲は穢れた身体を隠すようにシーツを掻き集めた。 「吉田さんが……抵抗出来なくて」  抱えた膝に額を押し付け、声を震わせる。 「ごめんなさい、いやなのに……」  黙り込んでいた小笠原は、思い出したように八雲からシーツを剥ぎ取り、うつ伏せに寝かせ尻だけ突き上げさせると、震える指で双丘を割った。 「ごめんなさいっ……」  泡立った白濁が、太腿を伝い漏れてゆく。 「中に、出されたのか」  啜り泣きながら、八雲はごめんなさい、いやだった、無理矢理犯されたと小笠原に伝えた。小笠原は怒りに打ち震えながら、しかし八雲に手を上げる事はなかった。  数日後、小笠原からあの男がここに来る事は二度とないと聞かされ、八雲は態とらしく自分を責めながら、小笠原が帰った後に声を上げて嗤った。  八雲は計画通り、吉田を始末した。  例えこれまでの裏切りを既に小笠原に暴露されていたとしてもいい。もう、心は決まったのだから。
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