みーつけた

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 エレベーターが停止して開いたフロアに降り立った彼は、傘の先端をタイル性の床に引きずり、カラカラと音を立てながら廊下を歩いていく。そうしてやがて彼は一つのドアの前で立ち止まった。入り口で押した四桁の数字がついているドア。 「花柳」  表札にはそう書かれている。 「素敵な名前だなぁ」  青年はとても穏やかにそう言って微笑んだ。  無造作にドアノブをつかんでひねると、抵抗なくドアが開いた。 「やれやれ、不用心なんだよね。困っちゃうよ」  苦笑い。  空いたドアの隙間から体を滑り込ませて、後ろ手にドアを閉め、鍵もかけた。
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