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ピンポーン、とチャイムを鳴らすと、無言でドアが開けられる、ラキは目を合わせようとしないが、『中に入って』とだけ言うので、部屋へと上がった。
部屋で座ってからも無言の時間が続く、いても立ってもいられなくなりオグから話を切り出した
『呼んだようって、なんだよ』
するとラキは涙目になりながら、口を開いた
『…私はね、神様を信じてる、よ、でもね、貴方は、神様が嫌いで、そんな言葉が、嫌い、みたいだから、さ』
まぁ、正直言わんとすることは誰にでもわかっただろう
『『もう会うのはやめよう』…ってか?』
『…っうん』
『だったら、別に連絡取らなきゃよかったんじゃねーの』
『…嫌だ、よ、最後に話したかったんだもん、君と、もう一度だけ、話したかったんだもん…』
ポロポロと涙がこぼれる。
そんなラキを眺めて、オグは思わず綺麗だな、なんて思ってしまう。
『…そうかよ、悪いね、こんな性格で』
『んーん、いいの、悪いのは私だから、でもね、一つだけ聞いてね』
そう言うとラキは、涙を拭いて、オグの目をしっかりと見た
『私はあなたと出会えたこと、神様のくれた運命だと思ってるよ、短い間だったけど、こんな楽しくお話出来たこと、素敵な人と、出会えたこと…幸せだったと、思ってるよ…』
『ふーん、で?』
冷たかっただろう、自分でもわかる返事の仕方。
嫌味ったらしい、嫌な返事。
『だから、私は、忘れないからね、オグくんのこと、忘れない、から』
『そっか』
痛いのは、胸、誰の?オグ、お前だろう、なぁ、また普通に話そうって、俺が神って言葉を聞くこと、我慢するだけでそれだけで楽しい時間が過ごせるのに。
『じゃあね?オグくん、迷惑かけて、ごめんなさい』
オグは黙って立ち上がる。
泣きじゃくる彼女を目の前に、やっぱり自分の運は最悪だと、こんなことなら出会わなきゃよかったと嘆いた。
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