幸運と悪運

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正直家に着くまで手を繋いでいることすら気まずい、名前とかを聞いたらナンパだと思われるだろうし、何てったって田舎だ、いつ知り合いに出会うかもわからないので手を振りほどこうとするが、何度離しても掴まれるので目を離せば逃げるのだろうと相当信用されていない様子だ。 そんな掛け合いを無言でしてるうちに彼女の方から声をかけてくる 『あの、お名前伺っても?』 『あ、えと…オグっていいます』 『へぇ…私はラキって言うの、呼び捨てでいいよ、宜しくね?オグくん!』 なんとか歩いている途中で会話が弾み、手を離してもらえて恥ずかしさからは抜け出せた上に、運良くラキの方から連絡先の交換まで申し出てもらえる幸運っぷりである。 今までの人生の悪運を全て幸運に帰る時期が来たのかと歓喜していたが道の途中でちょいちょい車に水をぶっかけられるので運が良くなった訳でもない。 オグはラキの家に着く頃には川で溺れた時よりも泥で汚れていたが奇跡的にラキは汚れていないどころか全く濡れていなかった。ラキの強運には驚かされるし正直こうなってくると腹立たしいオグであった。 『それじゃあまずオグくんはお風呂!シャワーでいいかな?服は今から洗うから適当にほかの用意しとくね?』 『あぁ、えと、何から何までありがとう、助かるよ、でも服とか自分で洗うからいいよ、スッキリしたらすぐ帰るからさ、これ以上迷惑かけらんないし』 ここに着くまでの会話ですっかり仲良くなり普通に話せるようにもなった。正直これ以上醜態を晒すわけにも行かないから今日のところは早く帰りたい一心である。 『えぇ、迷惑かけたの私だし、そんなに気にしなくていいからもう少し話そうよ、オグくん面白そうだし、話聞きたいな』 優しすぎる彼女の言葉に甘えて、オグはサラッとシャワーを浴びてラキの部屋に行った。
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