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籠女ーかごめー
「かーごーめ かーごーめ
かーごのなーかの とーりーは
いーついーつ でーあーう……」
侍が河原に腰を落とし、懐かしむような哀しむような気を纏いながらゆっくりと唄っていた。
傍らで草を踏む音が鳴り、続いてまだ幼さを残した少年の声が降り注いだ。
「ずいぶんと悲しい唄ですね。それは、童歌ですか?」
「これは、お坊様」
顔を向けた侍は、袈裟姿の少年に穏やかに笑い、自分の隣をあけた。
侍は端正な顔立ちで、名家の武士のように見えた。しかし
「これは……ただの徒歌です。ある方を悼んで……私は取り返しのつかない罪を負ってしまったのです」
その気迫はまるで雄々しさがなかった。
罪の意識に苛まれ、懺悔を繰り返しているような姿に、少年は自分でよければと耳を傾けた。
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