1314人が本棚に入れています
本棚に追加
先ずは山田君に電話してもよいか ラインしてみる。
わりと直ぐに大丈夫ですと返事がきた。
薄暗い店のカウンターに腰かけて山田君に電話すると会社と変わらないままの彼に一種の安心感を覚えながら仕事を休んで迷惑をかけている事のお詫びと礼と そして一番の案件を口に出した。
『ええ 一人で来られて何か焦ってるような...』
『焦ってる?...急ぎだったのかな』
『いやぁ分かんないです。ただあの人有馬さんの元カレの事好きそうですよね。俺ピンときたんですけど何かお門違いの嫉妬でもあるんじゃないですか?』
余りの鋭さに絶句する。
それより元カレって...
『山田君 申し訳ないけど麻生君って元カレじゃないから』
『えっそうなんですか?でも麻生さん俺に...』
口をつぐんだ理由が気になる。
『何?』
『いえ、あのですね。一度俺を休憩室で見つけて声を掛けられたんですけど 私用だから言いたくなかったら言わなくてもいいとか言いつつ有馬さんの今カレについて質問されて。目もこえーししまいに俺まで疑われて』
『疑う?』
『はい。この前二人でケーキ食べに行こうとしたのは下心が有ったのか無かったのかって』
非常に恥ずかしい。後輩にこんな事言うなんて。
『ごめんね。山田君 嫌な思いさせたね』
『いえ大丈夫です。いやだからそれでですねぇ元カレが未練たっぷりなのかと。ストーカーっぽくはないからそっちの心配はしてないんですけど麻生さんって仕事だとすげー切れ者みたいですけど こと恋愛に関しては未練持つタイプなのかなって。まあよく言えば一途で悪く言えば独占欲の塊みたいな。とにかく有馬さんの事が好きで好きで…』
『や、あの、山田君! 分かった。それ以上いいから』
結局欲しかった収穫は大してなく。
最初のコメントを投稿しよう!