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人と、ましてや男の人と関わらずに生きてきた私がまさか男女間の三角関係の定型文のような捨て台詞を吐かれるとは思いもしていなかった。
そこではっとした。
そして不思議な違和感は なぜ麻生君に事務所が私との関係を指摘されていたのかと言うこと。
何を知られて何を問題視されたのか。
誰が問題視したのか。
完全におかしいのは 二人の問題に彼女が割って入って来ていること。
そして滑稽なのは
私が多少の嫉妬をしていた相手が私に嫉妬していたということ。
それでも ‘‘あなたさえいなければ’’ は今の私には辛く響いた。
何も知らずに彼の邪魔になってたなんて...。
まだ何か言われているのにそれは遠く聞こえ体はぐらぐらし出す。
ぼーっと立ちすくんでいるとそうっと私の頭を後ろから抱え自分の頬で私の頭を撫でるように頬擦りをして。
知らぬ間に私の手からスマホが奪われていた。
電話口の彼女に向かって話始める。
『谷口さん』
冷たい声だった。
『!...っ麻生 さん...?』
『君の声が大きかったのでよく聞こえた。先ず何で君が京香の電話番号を知ってる?』
京香って...
『有馬さんからお電話頂いて...』
『そう。なら京香が何で君の電話番号知ってるの?』
『それは...』
『それは?』
『それは私が渡したから...です』
『何のために?』
『...』
『俺は言ったよね。俺のプライバシーに一切関わって欲しくないって。本気にしてなかった?”
『い..え..』
『ちゃんと説明する必要なんてないと思っていたから言わなかったけど 君は誤解してる』
『誤解...?』
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